2011年11月10日木曜日

琴平町の町並み-香川県仲多度郡琴平町(2009.11.21)①

■香川県仲多度郡琴平町(旧栄町遊廓)の町並み
※2009.11.21撮影

■へんこつ屋店舗
明治中期
昭和初期 改造
香川県仲多度郡琴平町字川東240-2
木造2階建、瓦葺、建築面積136㎡
登録有形文化財

















琴平の色町は銘菓へんこつ饅頭で有名な「へんこつ屋」の裏辺りに存在するが「へんこつ屋」と父の実家とは100mも離れていない。もちろん子供の頃はそこがどういう場所であるかは知らなかったが、私達がお風呂屋さんへ出かける頃、綺麗なおねぇさんがその路地から出てきて、出勤の準備の為に同じ銭湯の鏡の前で化粧してる姿を何度も目撃している。多分、何度かは注意を受けたかもしれないが、お昼に近所の子供達と「探検」と銘打っては、あの迷路のような路地を何度も行き来した。大人になって歴史的奸智からこういった場所に興味が沸くようになって「な~んだ、あの場所がそうだったんだ。結構、子供の頃からご縁があったんじゃん(笑)」なんて一人でほくそえんだりする事もある。こういう場所への関心の動機を人から聴かれると、ちょっとした面倒臭さもあって「近代建築への関心からの派生です」とお答えするようにしているが、実はこういった楽しかった子供時代への郷愁からくるものかもしれない。

金毘羅宮の
周辺

「全国遊廓案内」には幸い多度津についての記述があったものの「新地」としか書かれていない。-(中略)この辺りのくだりは主に多度津町の事について記載されている為、多度津町にて改めて転記-海上交通が盛んだった頃、海神を祭る金毘羅宮(こんぴらさん)への信仰は今にも増して厚かったに違いない。海の玄関口にあたる丸亀、多度津はもちろん、膝下の琴平にも遊廓があり、戦後も赤線として精進落としの役を担っていたのだという。-『赤線街を歩く2』木村聡著- P88・P89「多度津」より

琴平町は、琴平山中腹にある門前町で、琴電や旧国鉄の琴平駅のある平地部の榎井村と合併(昭和30年)し現在に至る。江戸時代は天領であり、比較的自由な歓楽街として発展した。金毘羅さんの表参道を下りてきて金倉川の一之橋を渡るとアーケードの商店街になる。その商店街と琴電琴平駅の間が旧遊郭のエリアである。旧榎井村の琴平新地と呼ばれていたから、徒歩時代からではなく鉄道時代になって鉄道を利用して訪れる参拝観光客を相手に成立したのであろう。昭和5年の「全国遊郭案内」によれば、当時貸座敷は28軒、娼妓は111人。「よるの女性街・全国案内板」によれば「森の石松が泊まったという虎屋という宿までが残っている遊興の街。赤線は橋を渡り和田邦坊の絵で有名な菓子屋『へんこつ屋』の裏一帯。50軒に170人程度。」とある。